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いま入っている保険と共済を棚卸しする点検の手順

開業のときに勧められるまま入った保険、家族から引き継いだ共済、取引先の団体制度。数年たつと、何にいくら払っていて、どこまで守られているのかが自分でも説明できなくなりがちです。このページでは商品選びの前段として、いま手元にある契約を一枚の表に書き出し、重なりと抜けを見つけるまでの作業手順を扱います。

点検は「探す」から始まる 集める書類の一覧

点検の最初の関門は、書類が一か所にないことです。保険会社の証券、共済の加入者証、クレジットカードや会員団体に付帯する保障の案内、住宅ローンの団体信用生命保険の契約書、業務委託契約に紐づく賠償保障の案内。これらは引き出し、メール、アプリ、郵便物の山に分散しています。

合わせて公的な情報も並べます。ねんきん定期便かねんきんネットの画面、国民健康保険または国民健康保険組合の加入状況、国民年金基金や小規模企業共済の書類。どれも「入っていたはず」の記憶で処理せず、現物か画面のスクリーンショットを揃えるのが要点です。

集める作業は半日では終わらないことが多いので、まず空の箱かフォルダを一つ用意して、見つけた順に放り込む方式にすると進みます。全部揃ってから始めようとすると、いつまでも始まりません。

一枚の表に書き出す 六つの列で足りる

集めた契約は、列を決めて一枚に写します。編集部で整理した範囲では、次の六列があれば全体像はつかめます。契約の名前、保障される出来事(入院・死亡・就業不能・賠償など)、いくら出るか、いつから出るか、いつまで出るか、保険料と払込の頻度。

「いつから」「いつまで」を独立した列にするのが肝です。入院一日目から出るのか八日目からなのか、六十日で終わるのか支払期間の上限が年齢で区切られているのか。この二列を書き入れようとすると、証券の表面だけでは足りず、約款やご契約のしおりを開くことになります。そこで初めて、自分が何を買ったのかが分かります。

数字が読み取れない欄は空白のまま残し、後で保険会社の窓口や公式サイトで確認します。空白を推測で埋めると、点検の意味がなくなります。

重なりを探す 医療保障は増えやすい

書き出した表を「保障される出来事」の列で並べ替えると、重なりが見えます。よくあるのは医療保障です。若い頃に入った医療保険、家族が契約してくれた共済、カードの付帯保障、共済の医療特約。入院一日あたりの給付が複数から出る状態になっていることがあります。

重なり自体が悪いわけではありません。問題は、重なっている部分の保険料が、手薄な部分に回せたはずのお金だという点です。公的医療保険には高額療養費の仕組みがあるため、短い入院に何重にも備える一方で、働けない期間の生活費と事業の固定費が丸ごと無防備、という偏りが起きやすくなります。

重なりを見つけたら、すぐ解約の判断はせず、印だけ付けて次に進みます。解約の可否は、抜けの大きさを把握してから考える順番です。

抜けを探す 時間の軸で並べてみる

次は横軸を時間にして、働けない状態が一週間、一か月、半年、二年、五年と続いた場合に、どの契約から何が出るかを線で引いてみます。多くの表は、最初の数十日は線が何本も引かれているのに、半年を越えたあたりから何も残らない形になります。

ひとり事業者にとって、この「線が消える区間」が最大の論点です。会社員なら傷病手当金が一定期間の橋渡しをしますが、国民健康保険の加入者には原則としてその仕組みがありません。障害年金は要件も時間差もあり、すぐに埋まる穴ではありません。詳しい条件はご自身の加入状況によって変わるため、年金事務所や公式サイトで確認してください。

線が消える区間の長さが分かったら、その区間に出ていくお金を数える作業に移ります。それが次に紹介する収支シートです。

点検を続ける仕組みにする

一度作った表は、更新しなければ一年で古くなります。契約の追加、保険料の改定、更新型契約の年齢到達、事業内容の変更。どれも表の数字を動かします。

続けるコツは、記入の手間を減らすことです。紙でもスプレッドシートでも構いませんが、保管場所を一つに決め、証券の写しを同じ場所に入れておきます。年に一度、確定申告の書類を整理する時期に合わせて見返すと、事業の数字と並べて考えられるので効率的です。

そして、家族や事業の関係者が分かる形にしておくことも点検の一部です。自分が動けないときに保障を請求するのは自分ではありません。契約の一覧と連絡先を、保険証券そのものとは別に一枚のメモとして残しておくと、いざというときの手間が減ります。

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